《入門テキストシリーズ》の１冊として本書を刊行できて嬉しく思うのは、文化人類学こそが、「水先案内人」を今最も必要としている学問だと痛感しているからです。日本のほとんどの小学校、中学校、高校では教えられていませんし、もちろん、そのどのレヴェルでも受験勉強とは無縁です。それゆえ、中学生や高校生にはかなり縁遠くて、いわば「未知の学問」だといってよいでしょう。これこそが、大学に入学したばかりの皆さんに文化人類学の「水先案内人」が欠かせないと考える、第一の理由です。

目次

１　山と山は相会わず、人と人は相まみえる

　１　動かない社会、動く文化

　２　文化人類学という実践

　３　文化人類学に目覚めた日本

２　二十一世紀の日本と文化人類学

　１　身近な暮らしの学へ

　２　人類学者は何ににているか

　３　探検家、人類学者、子供

　４　文化人類学者の二つのタイプ

　５　小さな文化人類学者

３　見直される受動的な子供観

　１　外なる心の小径、内なる心の小径

　２　ヒトの言語の二重分節

　３　区別する音を敢えて刈り込む

　４　小さな理論家

　５　歴史という気まぐれ

　６　歴史家と哲学者