日中戦争から土地改革、人民公社、大躍進、文化大革命、日中・日米の歴史和解、生産請負制、改革開放、経済の高度成長へと続く一連の重大な歴史過程において、村民が身をもって経験したことを政府の対農村政策の変革の文脈に置きながら検討。３億５０００万人を擁する中国華北地域。そこで生活を営んできた農民の生活の実相を忠実に描く。

第１章　農民の結婚：通婚圏と社交圏

　第１節　満鉄調査村の再調査の活発化と寺北柴村

　第２節　寺北柴村における婚姻関係の伝統と変革

　第３節　貧困村における伝統と変容

第２章　農民の子孫：一人っ子政策の実態

　第１節　一人っ子政策の施行と終焉

　第２節　各家庭における子供数の変遷からみる一人っ子政策の実態

　第３節　生育観の変化：伝統・現実・変革の共存

　第４節　国家の政策に翻弄される農民

第３章　農民の健康：医者と医療

　第１節　農村医療制度の変遷

　第２節　農村医者の養成と医療活動

　第３節　農民の健康と衛生環境

　第４節　伝染病の防疫体制と新型農村合作医療制度

第４章　農民の移住：都会のための犠牲

　第１節　水調達プロジェクト：南水北調

　第２節　華北地域の水不足：南水北調の必要性

　第３節　環境の変化と社会生活への影響

　第４節　チベット高原の水を黄河へ

第５章　農民の日本観：１９９５年

　第１節　戦後５０年と戦争賠償認識

　第２節　軍国主義復活への認識

　第３節　米中・日中間の歴史和解と民間の役割

　第４節　戦争と対日感情の形成

　第５節　経済協力への期待

付録１：聞き取り調査実施データ

付録２：戦後日中関係の歴史と現状についての調査データ